糖尿病


血糖値が高い

血糖値が高いということが直接、生体にとって不利となることは短期的には少ない。血糖値が高いということがタンパク質の糖化を起こし、糖尿病慢性期合併症を引き起こすという可能性は示唆されているが、これらは2型糖尿病が発症し10年などかなり長い時間が経過してから起こることである。一般的に2型糖尿病は高血圧と同様、自覚症状はほとんどない。多飲、多尿というものは相当進行してからでないと出現はしない。血糖値が高いということは検査値の異常以外何も示さないように思える。しかし、血糖値が高い理由が別の病態を示していることもあり注意が必要である。

血糖値が高いということは、血液中にエネルギー源がたくさんある状態という意味にもなるが、エネルギーが必要なのに細胞がグルコースを取り込むこむことができない状態でも起こりえる。グルコースは細胞内に入り初めてATPとなりエネルギーと変わる。グルコースを細胞内に取り込むのに必要なのがインスリンと呼ばれるホルモンである。糖尿病の患者はインスリンが不足することで細胞内が飢餓の状態となり、意識障害など全身状態が悪化することが知られている。これが糖尿病性昏睡と言われる病態であり、患者は著しい高血糖を示しているが飢餓の病態となっている。また、この軽症例としてシックデイという病態も知られており、インスリンを導入しているような2型糖尿病の患者では気をつけなければならないところである。これらは糖尿病の数少ない自覚症状とも考えられる。

糖尿病慢性期合併症は基本的には血糖のコントロールをしていれば発症を遅らせることはできる病態である。発症してしまうと、心筋梗塞腎不全など命に関わる合併症が出現しなくても生体は予備能がかなり低下してしまい、日常生活に支障をきたすこともある。例えば、糖尿病性網膜症では前増殖期以降になると低血糖による高血圧で網膜剥離を誘発することもあるため運動ができなくなり、糖尿病性腎症でも運動を行うと尿蛋白が増え、腎臓に負担がかかることから禁止される。合併症が生じてから、あわてて糖尿病自体の治療をしようと考えても、血糖値の変動で合併症が生じえるような全身状態になってしまうと、強化インスリン療法など強力な治療は行えなくなっている。



(Wikipedia)


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