インスリン抵抗性
インスリン抵抗性
インスリン抵抗性(–ていこうせい)は、インスリンの効力を規定する個人の特性。
そもそもは臨床的な概念で、健康な人と比べて糖尿病の人では、同じ量のインスリンを注射しても糖尿病の人のほうが血糖値が下がりにくく、また軽症糖尿病と重症糖尿病では重症のほうが血糖値が下がりにくいことから、インスリンが効きづらいことが糖尿病の本態のひとつであるととらえられた。
現在では肥満をはじめとして、糖尿病、高血圧、高脂血症などといった現代人を悩ます生活習慣病の根本的な背景メカニズムのひとつととらえられている。最先端の研究により複雑なホルモンやサイトカインのネットワークや脂肪細胞を介した発症と進展の病態生理が明らかになりつつある。
意義
メタボリックシンドロームの概念が確立したため難しいが(
メタボリックシンドロームは、以前Defronzoらにより
インスリン抵抗性症候群と言われていたものにも対応する)、基本的にはメタボリックシンドロームは、既に
インスリン抵抗性を発症している人がさらに血圧、脂質プロフィールなどに異常をきたしはじめて診断されるものととらえることができる。
したがって、これらの生活習慣病疾患群の背景広範に横たわる
インスリン抵抗性という概念はいまでも有効な考えである。
すなわち最終的に
心筋梗塞や
脳梗塞に至るのは、血圧や糖や脂質が直接の原因ではなく、この
インスリン抵抗性が根本的な原因だとする考えである。
しかし、日本人では
インスリン抵抗性がそれほど高くない2型糖尿病患者もかなり存在することから、重要な指標ではあるものの、
インスリン抵抗性だけではリスクを決めきれない。
(Wikipedia)